ヤマトタケルの自伝 5
マソタケルの兄弟の討伐の命クを父の天皇から受けたわたしは、伊勢に立ち寄り叔母のヤマトヒメから着物を借りて、西国に向かっていた。
さて、クマソタケルが住む地、九州の熊襲まで長い旅の末たどり着いた。クマソタケルの屋敷を訪ね歩く。そこはすぐにわかった。
熊襲を支配するクマソタケルの屋敷。とてつもない大きな家で、その周りは兵士が三重に取り巻いて守っていた。
軍勢もなく単身で来たわたしである。
屋敷を守る兵士をかいくぐって中に入りクマソタケルを暗殺することなど、とても無理だろう・・・
ただ、幸いなことに、クマソタケルの屋敷は新たに新築したばかりだった。そして今日、新築祝いの宴が開かれるらしい。宴の準備をする下男下女が頻繁に出入りしていた。これならこの下男下女に交じって屋敷に忍び込めるかもしれない・・・
そう考えたわたしは、さっそくヤマトヒメから借りた着物を取り出した。その着物を着て、稚児姿に結ってある髪の毛をほどいておろす。さらに白粉と紅で念入りに化粧を施した・・・
そう、女装したのだ。
そして、自分の姿を水鏡に写してみた・・・うん、完璧だ!
そこには見事に美しい少女に化けたわたしの姿が写っていた!!これなら敵の目をごまかせるだろう。
そして少女に化けたわたしは、クマソタケルの下男下女の中に交じりこんで、その屋敷に潜入することに成功したのだった。
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☆熊襲の穴
鹿児島県隼人町には、この話の舞台である、クマソタケルの兄弟が住んでいたいう洞窟「熊襲の穴」が残っています。
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