神武天皇の自伝 15
嵐に流されて上陸した皇軍は、陸路、大和を目指していく。
しかしそれは険しい山道だった。これまで艦船を自由に操ってきた我々は、今までとは全く違った苦しい道のりを進んでいた。
時には背の高い草をかき分け、時には切り立った崖沿いにわずかな足場を頼りに進み・・・
そして、熊野の村に至った時だった。
「なんだ、あれは!」
「熊だ!大きいぞ!!」
兵士たちが叫ぶ。
そう、草むらからのそっと出てきたのは、見上げるように巨大な熊だった。
熊は、ゆっくりと近づいてくる。
兵士たちは矢をつがえ、熊を追い払おうとした。その時だった!
どさっ
何かが倒れる音がした。振り向くと、今立って弓を構えていた兵士が、倒れていたのだ。
「おい、どうした!!しっかりしろ」
わたしはその兵士を抱き起した。しかし、何もしゃべらない。意識を失っている。
周りを見ると、彼だけではなかった。兵士が次々と意識を失って、倒れていくのだ!
「おい、みんな!どうしたんだ!!」
わたしは混乱し、思わず熊のほうを見てしまった。熊と目が合った。その時だった・・・
・・・・わたしも意識が遠のいていくのを感じた・・・
・・・・・わたしもその場に倒れてしまった・・・その後の記憶がない・・・
前<<< 嵐に遭遇 - 古事記の話 (hatenablog.com)
次>>> 剣を受け取る - 古事記の話 (hatenablog.com)
≪古事記関連の姉妹サイト≫
小説古事記
古事記ゆかりの地を訪ねて
≪その他の姉妹サイト≫