さて、オオナムヂを蜂と百足の室屋に閉じ込めた翌朝、また昨夜と同じようにスセリヒメにオオナムヂを迎えに行かせた。
「スサノオ様、おはようございます。おかげさまで、昨夜もゆっくり眠れました」
オオナムヂは元気よく挨拶する。それはそうだろう、スセリヒメが渡したひれのおかげで体を横たえて眠ることができたのだから・・・
その日の午後である。わたしはオオナムヂを連れ出した。
わたしはオオナムヂを野原に連れて行った。そこには見渡す限り、一面の枯れ草が地平線まで広がっている。
わたしは弓矢を取り出すと、弓に鏑矢をつがえて射った。鏑矢というのは戦いの開始の合図などに使う矢で、大きな音を立てて飛ぶが殺傷能力はない。
ぴゅわ~~わ~~~ん
矢は大きな音を立てながら、野原の真ん中に落ちていった。
わたしはオオナムヂのほうを向き
「あの矢を拾ってこい!」と命じた。
オオナムヂはすぐに「ハイ、かしこまりました!」と元気よく答えると、矢が飛んでいったほうに向かって駆けだしていった。
どこまでも、素直な奴だ。いいことだが、その素直さが命取りにならなければいいが・・・
まあいい、わたしは次の行動に移った。オオナムヂの周りに、次々と火矢を何本も放ったのである。
たちまちのうちに枯れ草に火が付き、めらめらと燃え出した。火は野原全体に燃え広がる。オオナムヂは逃げることはできないだろう。
さあ、この四方を火の壁に囲まれた中、奴はどうやって切り抜けるか・・・ふふ、楽しみだ・・・
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