古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

墓を壊し帰る

 

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天皇の兄オケは、少数の従者のみ連れて、父の仇である雄略天皇の御陵を壊しに行った。

 

そして帰ってきた。しかし、その帰りがあまりにも早かったので、天皇は怪しんだ。

 

オケは天皇に報告する

「雄略帝の墓を壊し帰ってまいりました」

「兄上、ずいぶん早かったですね。本当に壊してきたのですか」

 

「はい、さようにございます」

「どのように壊してきたのですか」

 

「墓の傍らの土を、少し掘ってきたのでございます」

 

これを聞くと、天皇は立腹していった

「兄上・・父の仇に報おうと思えば、墓をすべて壊してくるべきではないですか!なぜ土を少し掘っただけで帰ってこられたのですか!」

 

オケは落ち着いて答える

「陛下、そのお気持ちはごもっともでございます。

しかし、雄略帝は父上の仇とは言っても、我々の親族の一人であり、天下を治めた天皇であります。

今、ここに父上の仇というだけで、天下を治めた天皇の墓をことごとく壊してしまば、必ず後世の人々からの非難は免れないでしょう。

そうはいっても父上の仇に報いないわけにはいかないので、墓の傍らの土を少し掘りました。雄略帝にこの恥辱を与えることによって、後世の人に示すことで十分でございましょう」

 

それを聞いた天皇

「まことに道理です。それでよろしい」

と、答えたという。

 

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雄略天皇御陵

 

大阪府羽曳野市島泉の島泉丸山古墳とされています。

 

島泉丸山古墳 wikipedia

 

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