天皇の兄オケは、少数の従者のみ連れて、父の仇である雄略天皇の御陵を壊しに行った。
そして帰ってきた。しかし、その帰りがあまりにも早かったので、天皇は怪しんだ。
オケは天皇に報告する
「雄略帝の墓を壊し帰ってまいりました」
「兄上、ずいぶん早かったですね。本当に壊してきたのですか」
「はい、さようにございます」
「どのように壊してきたのですか」
「墓の傍らの土を、少し掘ってきたのでございます」
これを聞くと、天皇は立腹していった
「兄上・・父の仇に報おうと思えば、墓をすべて壊してくるべきではないですか!なぜ土を少し掘っただけで帰ってこられたのですか!」
オケは落ち着いて答える
「陛下、そのお気持ちはごもっともでございます。
しかし、雄略帝は父上の仇とは言っても、我々の親族の一人であり、天下を治めた天皇であります。
今、ここに父上の仇というだけで、天下を治めた天皇の墓をことごとく壊してしまば、必ず後世の人々からの非難は免れないでしょう。
そうはいっても父上の仇に報いないわけにはいかないので、墓の傍らの土を少し掘りました。雄略帝にこの恥辱を与えることによって、後世の人に示すことで十分でございましょう」
それを聞いた天皇は
「まことに道理です。それでよろしい」
と、答えたという。
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☆雄略天皇御陵
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